歯根破折とは? 症状・原因・治療法を徹底解説
谷町四丁目なかたに歯科・矯正歯科
歯根破折とは?
症状・原因・治療法を徹底解説
「歯の根っこが割れていると言われた。抜くしかないの?」
「神経をとった奥歯が最近痛む。まさか歯根破折?」
「抜いた後どうすればいいか、インプラント以外の選択肢もあるの?」
歯根破折という言葉を初めて聞いて、戸惑っている方も多いと思います。「抜歯しかない」と言われてショックを受けた方もいるかもしれません。
しかし、正確な診査と適切なアプローチによって、歯を残せる可能性がある場合もあります。そして抜歯後の選択肢も、インプラントだけではありません。
この記事では、歯根破折の原因・症状・治療の選択肢を、歯科医師の視点からわかりやすく解説します。

歯根破折とは何か——根っこが「割れる」とどうなる?
歯根破折(しこんはせつ)とは、歯冠(見えている部分)の下にある歯根(根っこ)に、ひびや亀裂が入り、最終的には割れてしまった状態です。英語では「Vertical Root Fracture(VRF)」とも呼ばれます。
たとえ話でわかる「歯根破折」
植木鉢に植えた木を想像してください。
幹(歯冠)が丈夫でも、土の中の根っこ(歯根)が割れてしまうと、木全体が不安定になってしまいます。
歯根破折も同じです。歯の表面(歯冠)は見た目には問題なくても、根っこにひびが入ることで細菌が侵入し、骨が溶けていきます。気づかないうちに深刻な状態になっているケースが多いのが、この病態の怖いところです。
歯根破折は歯を失う主要な原因の一つです。痛みが軽度だったり、見た目では全く気づかなかったりするため、発見が遅れることが多く、気づいたときには抜歯しか選択肢がないことも少なくありません。「なんか変だな」という違和感を感じたら、早めに受診することが歯を守る最善策です。
歯根破折の進行ステージ
歯根破折は一度に「ぱっくり割れる」のではなく、段階的に進行することが多いです。
エナメル質・象牙質にひびが入った状態。自覚症状がほぼない。マイクロスコープでのみ確認できることが多い。
ひびが根っこまで達した状態。かむと痛い・冷たいものがしみるなどの症状が出始める。レントゲンでも見えにくい。
歯根が縦や横に完全に割れた状態。骨の吸収・膿・腫れが起きる。多くのケースで抜歯が必要。

なぜ歯根破折が起きるのか——主な原因4つ
神経がなくなった歯は歯質を大きく失うことになり、経年的にもろくなります。これが歯根破折の最大の原因です。
ブラキシズムによる過剰な咬合力が、繰り返し歯根にかかり続けることでひびが入ります。失活歯との組み合わせが特に危険です。
根管治療後の土台(ポスト・コア)が長すぎる・太すぎる・硬すぎると、力が歯根に集中し破折を誘発します。
転倒・スポーツ中の衝突など、強い外力が歯に加わることで急性の破折が起きることがあります。
根管治療後の失活歯は、適切な補強(ファイバーポスト+コア+クラウン)がなされていないと、歯根破折リスクが大幅に高まります。「神経をとった歯」を長期的に守るためには、根管治療の質だけでなく、その後の補綴設計が非常に重要です。
気づきにくい歯根破折——見逃してはいけない症状
歯根破折の疑いがある症状チェックリスト
- 噛んだときに特定の歯が痛い・違和感がある(咬合痛)
- 歯ぐきが繰り返し腫れる・膿が出ることがある
- 根管治療後の歯なのに痛みが再発した
- 歯ぐきにできもの(フィステル・サイナストラクト)がある
- レントゲンで「骨が溶けている」と指摘された
- 抗生剤を飲んでも症状が改善しない炎症がある
歯根破折は通常のレントゲン(二次元)では見えにくいことが多く、「異常なし」と言われても実際に破折が起きているケースがあります。CBCTによる三次元評価が正確な診断に不可欠です。
治療法の選択肢——抜歯だけではない?
歯根破折の治療方針は、破折の位置・深さ・割れ方・感染の程度によって大きく異なります。
歯を残す
歯を残す

歯を残す
抜歯
歯冠長延長術・エクストリュージョンなどの保存治療は、すべての歯根破折に適応できるわけではありません。CBCTによる三次元的な破折ラインの評価・骨の状態・かみあわせのリスク・くいしばりの程度などを総合的に評価したうえで判断します。「残せるかもしれない」と感じたら、まず精密診査を受けてください。
抜歯後の選択肢——自家歯牙移植・インプラント・ブリッジ
① 自家歯牙移植——親知らずを活かす選択肢
自家歯牙移植とは、自分の口の中にある不要な歯(主に親知らず)を、失った歯の場所に移植する方法です。自分の歯なので生体親和性が高く、歯根膜(骨と歯をつなぐ繊維)が再生する可能性があります。
・親知らずの根の形がシンプルで移植先のスペースに合っている
・移植先の骨量が十分ある
・歯根破折で抜歯になる前に、親知らずの移植可能性を評価しておくことが重要
・患者さんの年齢・全身状態が適している
② インプラント——骨に直接埋め込む人工歯根
インプラントは顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に被せものを装着する治療法です。隣の歯を削る必要がなく、天然歯に近い機能・審美性が期待できます。ただし骨量の確保・全身状態・くいしばりのコントロールなどの条件確認が必要です。
③ ブリッジ・入れ歯——保険適用の選択肢も
ブリッジは両隣の歯を削ってダミー歯を橋渡しする方法です。保険適用になる場合があり、短期間で治療できます。入れ歯は取り外し式の補綴物で、手術が不要です。それぞれメリット・デメリットがあり、かみあわせ・骨の状態・ご希望に合わせて選択します。
歯根破折を防ぐために——くいしばり対策が最重要
ナイトガードで歯への負担を軽減
就寝中のくいしばり・歯ぎしり(ブラキシズム)は、歯根破折の大きなリスク要因です。ナイトガード(就寝中のマウスピース)は歯を物理的に保護し、破折リスクを下げる効果が期待できます。特に失活歯(神経をとった歯)がある方には強くおすすめします。
ボトックス注射で咬筋の力そのものを弱める
ナイトガードだけでは改善しない重度のくいしばりには、咬筋へのボトックス注射が選択肢になります。筋肉の過剰な収縮を抑えることで、歯根にかかる力そのものを軽減します。効果は3〜6ヶ月程度持続し、定期的な再投与が必要です。
失活歯への適切な処置——ファイバーポスト+クラウン・オクルーザルベニア
神経をとった歯は、根管治療後に適切な処置をすることが非常に重要です。ガラス繊維製のファイバーポスト(土台)はしなやかな素材特性を持ち、従来の金属ポストより歯根への応力集中を分散させる効果があるとされています。さらに被せもの(クラウン・オクルーザルベニア)で歯をしっかり覆うことで、破折リスクを大幅に下げることができます。
谷町四丁目なかたに歯科・矯正歯科の特徴と強み
補綴・接着・インプラント・かみあわせの専門医が連携
歯根破折への対応は、「歯を残せるか」「抜いた後どうするか」「再発防止のためにくいしばりをどうコントロールするか」という3つの視点すべてが必要です。当院の専門医が対応します。
抜歯後の補綴設計・インプラント・ブリッジを総合判断
破折歯の接着保存・ファイバーポストの精密設置
抜歯後のインプラント・自家歯牙移植の計画と実施
くいしばりの評価・ナイトガード・ボトックスで再発予防
CBCT・マイクロスコープで歯根を精密に評価
通常のレントゲンでは見えない歯根破折の位置・深さ・骨吸収の範囲を三次元で精密に把握します。「保存できるか・できないか」の正確な判断に不可欠な検査です。
初期のクラック(ひび)をマイクロスコープで高倍率に確認します。早期発見・接着保存の精度向上・歯冠長延長術後の状態確認など、あらゆる場面で活用します。
歯のすり減り・かみあわせのデータをデジタルで記録。くいしばりの影響評価・ナイトガードの精密作製・補綴設計の精度向上に活用します。
「抜歯しかないと言われた」という方にも、まずCBCTで現状を精密に評価し、残せる可能性があるかどうかを正直にお伝えします。治療時間をしっかり確保し、治療の選択肢・リスク・見通しをわかりやすくご説明します。「他院のセカンドオピニオン」としてのご相談も歓迎しています。
診査・治療の一般的な流れ
初診・症状のヒアリング
「いつから」「どんな症状が」「根管治療の既往」「くいしばりの自覚」などをお聞きします。根管治療済みの歯の痛みの再発・繰り返す腫れは歯根破折の疑いが高い重要なサインです。
精密検査(CBCT・マイクロスコープ・口腔内スキャナ)
CBCTで破折の位置・骨吸収の範囲を三次元評価。マイクロスコープで口腔内の状態を詳細確認。口腔内スキャナでかみあわせデータを記録します。
診断・治療計画の説明
「保存できるか・できないか」「保存する場合の方法(歯冠長延長術・エクストリュージョン・接着)」「抜歯後の選択肢(移植・インプラント・ブリッジ)」を、データをもとに丁寧にご説明します。ご納得いただいてから進めます。
治療の実施
【保存する場合】歯冠長延長術・エクストリュージョンなど状態に合わせた術式で保存を図ります。
【抜歯の場合】抜歯と同時にリッジプリザベーション(骨量保存)を検討。移植を行う場合は事前に親知らずの評価を済ませておきます。
くいしばり対策・再発予防
ナイトガードの作製、必要に応じてボトックス注射の検討。かみあわせの調整・失活歯への適切な補強計画も並行して進めます。
定期メンテナンス・経過観察
保存した歯・移植歯・インプラントいずれも定期的な経過確認が重要です。くいしばりの状態・歯のひびの変化を継続してモニタリングします。
よくある質問(Q&A)
多くのケースでは残念ながら抜歯が必要になります。ただし、破折の位置が歯ぐきに近い浅い部分にある場合は、歯冠長延長術やエクストリュージョン(矯正的挺出)によって歯を残せる可能性があります。まずCBCTによる精密診査で現状を正確に把握することが重要です。
神経をとった失活歯の破折は、神経がないため強い痛みが出にくいことがあります。また、破折の初期段階では通常のレントゲンに映りにくく、発見が遅れるケースが多いです。「かんだときの違和感」「繰り返す腫れ」などの微細なサインを見逃さないことが大切です。
エクストリュージョン(矯正的挺出)とは、矯正の力を使って歯根をゆっくり引き上げ、骨の中に埋まっている破折線を歯ぐきの上に出す方法です。数週間〜数ヶ月の期間が必要で、その後補綴物で歯を覆います。適応できるのは根の長さが十分に残っているケースに限られます。
すべての方に移植ができるわけではありません。ドナーとなる歯(主に親知らず)の根の形・サイズ・移植先の骨量・患者さんの年齢・全身状態などの条件を満たす必要があります。抜歯前にCBCTで移植の可能性を評価しておくことをおすすめします。
はい、対応しています。「他院で抜歯と言われた」「本当に残せないのか確認したい」という方のご相談も歓迎しています。当院でCBCTを撮影してより精密な評価を行うこともできます。
くいしばり・歯ぎしりがあってもインプラントは可能ですが、インプラントや周囲の骨への過剰な力がリスクになるため、ナイトガードやボトックス注射などでくいしばりをコントロールしながら進めることが重要です。まずくいしばりの程度を評価したうえで治療計画をご提案します。
「もう抜くしかない」と諦める前に、一度ご相談ください
歯根破折は確かに深刻なトラブルです。しかし、精密な診査と専門的な知識があれば、「残せる可能性を正確に評価する」ことができます。そして抜歯になった場合でも、自家歯牙移植・インプラント・ブリッジなど、次の選択肢は複数あります。
何より大切なのは、くいしばりのコントロールと、失活歯への適切な補強を早期に行うことです。「まだ症状がないから」と放置せず、定期的な検診でひびの早期発見に努めることが歯を守る最善策です。
「歯根破折かもしれない」「他院でもう抜くしかないと言われた」——まずはご相談ください。現状を正直にお伝えします。
まずはお気軽にご相談ください
「歯の根が割れていると言われた」
「根管治療後の歯がまた痛む」
「セカンドオピニオンを聞きたい」
「抜いた後の選択肢を知りたい」——
どんなことでも、丁寧にお答えします。
診療科目:一般歯科・小児歯科・口腔外科・矯正歯科
所在地:大阪府大阪市中央区谷町3-2-11 FLAGS 1F
(地下鉄谷町線・中央線「谷町四丁目駅」より徒歩すぐ)
電話番号:06-6941-8241
日本補綴歯科学会専門医
日本接着歯学会 専門医
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
歯科医師臨床研修指導医
日本口腔インプラント学会専修医
日本補綴歯科学会
日本接着歯学会
日本顎咬合学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科審美学会
日本臨床歯科学会
※歯冠長延長術・エクストリュージョン・自家歯牙移植などの適応は精密診査のうえで判断します。すべての症例に適応できるわけではありません。
※掲載の情報は記事執筆時点のものです。最新の診療内容・料金等は医院へ直接お問い合わせください。
