顎関節症の症状とは? 顎が痛い・口が開かない・音が鳴る 原因を解説
谷町四丁目なかたに歯科・矯正歯科
顎関節症の症状とは?
顎が痛い・口が開かない・音が鳴る
原因を解説

「口を開けるとカクッと音がする。放っておいていい?」
「あくびをしたら顎が痛くなって、口が開けにくくなった」
「矯正やセラミック治療を考えているが、顎の不調があっても大丈夫?」
顎のだるさ、口を開けたときの痛み、カクカクという音——こうした症状に心当たりのある方は少なくありません。顎関節症は、日本顎関節学会の治療指針でも虫歯・歯周病に並ぶ「第三の歯科疾患」とも言われる身近な病気とされています[2]。
この記事では、顎関節症の代表的な症状、病型、原因、治療の考え方を、日本顎関節学会などの情報を出典付きで整理します。あわせて、矯正・咬合・審美歯科の治療を考える方が知っておきたい、顎との関わりについても解説します。
顎関節症とは
日本顎関節学会は、顎関節症を「顎関節や、あごを動かす咀嚼筋の痛み、関節雑音、開口障害、あごの動きの異常を主な症状とする障害をまとめた病名」と説明しています[1]。ひとつの病気というより、似た症状を示す複数の病態を包括した診断名です[2]。
治療指針によれば、「顎関節症」という病名は1956年に提唱されたもので、現在では学校歯科検診にも取り入れられています[2]。日本口腔外科学会は、女性にやや多く、20歳代と40歳代以降によくみられるとしています[3]。
たとえ話でわかる「顎関節」
顎関節は耳の穴のすぐ前にあり、下顎の動きの支点になっています。開け閉めだけでなく、左右にすべるような動きもするのが特徴です[3]。
ドアの蝶番が「ただ開閉する」だけでなく「スライドもする」ような、複雑な動きをする関節です。そのぶん、関節・クッション役の関節円板・動かす筋肉のどこかに負担がかかると、症状が出やすくなります。
3つの代表症状——痛み・開口障害・関節雑音
日本顎関節学会は、代表的な症状として次の3つを挙げています[1]。症状はどれか1つだけのこともあれば、2つ以上が重なることも多いとされています[5]。
診断の考え方:上の3つのうち1つ以上があり、同じような症状が出る別の病気がない場合に、顎関節症と診断されます。実際には問診、あごの動きの検査、痛みの検査、レントゲン、必要に応じてMRIなどで、他の疾患を見分けたうえで判断します[1]。
症状が全身に広がることもある
日本口腔外科学会は、重症になると開口障害や噛みにくさが出て、首や肩のこり、腕の症状につながることもあると述べています[3]。一部の歯科医院も、重度では耳・頭・首・肩などに不定愁訴が現れうると説明しています[9]。ただし、こうした症状は顎関節症以外の原因でも起こるため、自己判断せず診察を受けることが大切です。
顎関節症の病型分類
日本顎関節学会は、顎関節症に含まれる病態を次の4つに整理しています[1]。2013年に新しい病態分類が発表されており[5]、これ以前は「Ⅰ〜Ⅳ型」の分類が使われていました[8][9]。医院のウェブサイトによっては旧分類で説明されていることもあります。
咬筋・側頭筋などの筋肉痛のような状態です。使いすぎが背景にあることが多く、筋肉をほぐす・あごを安静にするなどの対応が基本になります[6]。
関節の周囲組織の炎症や負担による痛みが主な症状です[1]。
口を開けるとずれた円板が戻るときに「カクッ」という音(クリック音)が出ます。円板が戻らなくなると音が消え、口が開きにくくなる(開口障害)ことがあります[5]。
顎関節を構成する骨に変化が生じるタイプです[1]。
顎関節症の原因——なぜ起こるのか
日本顎関節学会の治療指針は、発症のメカニズムには不明な点が多いとしたうえで、環境因子・行動因子・宿主因子・時間的因子などが関わると整理しています[2]。宿主因子の例として、噛み合わせ、顎関節の形、咀嚼筋の構成組織、痛みの感じやすさ、睡眠障害などが挙げられています[2]。
かつては噛み合わせが主な原因とされてきましたが、近年は原因が一つではなく、さまざまな要因が絡み合って起こると考えられるようになっています[11]。
睡眠中や日中の食いしばり(ブラキシズム)は、行動因子・習癖として治療指針にも挙げられています[2]。
片側だけで噛む「偏咀嚼」、うつ伏せ寝、頬杖、猫背で頭が前に出る姿勢などが負担を蓄積させると説明されています[5]。
精神的ストレスによる顎周囲の異常な緊張が関与することがあります[3][5]。
日本歯科医師会の解説では、解剖要因・咬合要因・精神的要因などが寄与因子として挙げられています[4]。噛み合わせは原因の一つ(寄与因子)という位置づけです。
顎関節や筋肉の構造的な弱さが背景にある場合があります[4][11]。
あくびなどの過度の開口や、硬いものを噛んだことをきっかけに発症することが多いとされます[3]。
日本歯科医師会の解説では、寄与因子の中でもある種の癖が最大の原因になっており、その癖を改善すると多くの患者さんの症状が良くなることが分かってきたと述べられています。そのため、まず癖の改善を優先する考え方が示されています[4]。
セルフチェックと受診の目安
次のような症状があれば歯科・口腔外科へ
- 口を開けるとあごが痛む、噛むと痛い
- 口が大きく開けられない、食べ物が食べにくい
- あごを動かすと音がして、痛みや開けにくさを伴う
- 頬やこめかみのあたりが重だるい、頭痛・肩こりが続く
「3横指」で口の開きを確認
口の開き具合の目安として、人差し指・中指・薬指の3本を縦にそろえて口に入れられるかを確認する方法が紹介されています[6]。入らない場合は開口障害が起きている可能性があります。
同じ解説では、関節雑音が痛みなく、口も十分に開くなら治療は不要とされる一方、これまで鳴っていた音が突然しなくなった場合は注意が必要と述べられています。円板の状態が変わり、開口障害が生じている可能性があるためです[6]。
※転倒や殴打などの外傷のあとに口が開かなくなった場合、顔や顎の腫れ・発熱を伴う場合は、顎関節症以外の病気の可能性もあるため、早めに受診してください。
治療法——保存療法が中心
日本口腔外科学会は、顎関節症の治療は消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などの薬物療法、噛み合わせの調整、各種スプリントによる保存療法が主体と説明しています[3]。日本顎関節学会の治療指針でも、まず「初期治療」を行い、必要に応じて「専門治療」に進む構成になっています[2]。
日本顎関節学会の治療指針(2024年案)には、顎関節症に対する「咬合挙上副子」や歯ぎしりに対する「咬合床」が、保険上は「床副子」として扱われるという記載があります[2]。費用や適用の可否は症状・装置によって異なるため、受診時にご確認ください。
矯正治療との関わり
矯正治療は噛み合わせに直接関わる治療のため、顎関節症との関係を気にされる方が多くいます。矯正歯科の解説では、不正咬合と顎関節症の間に直接の因果関係があるとは言えない一方、噛み合わせを治療すると顎関節症が良くなる場合があるという事実から、悪い噛み合わせが補助的な原因になりうると述べられています[8]。
別の歯科医院の解説でも、歯並び・噛み合わせを整えることは寄与因子を減らし、再発のリスクを小さくすることにつながると説明されています[10]。
顎関節症の症状があるまま矯正を始めてよいかは、症状の種類と程度によって異なります。まず顎の状態を確認し、症状が落ち着いてから矯正を始める、または並行して管理するなど、順序を担当医と相談することが大切です。矯正前に顎の痛みや音があれば、初診時に必ずお伝えください。
咬合(噛み合わせ)との関わり
噛み合わせと顎関節は互いに影響し合うと説明されています。噛み合わせのズレが顎への慢性的な負担を生み、それが積み重なって顎関節症の発症・悪化につながるというメカニズムを解説する歯科医院もあります[12]。一方で、前述のとおり顎関節症は多因子であり、噛み合わせだけで説明できるわけではありません[2][11]。
| 見方 | 内容 |
|---|---|
| 従来の見方 | 噛み合わせの異常が主な原因と考えられてきた[11] |
| 現在の見方 | 噛み合わせは複数ある寄与因子の一つ。癖・姿勢・ストレス・構造など他の要因も重なる[2][4][11] |
| 臨床での扱い | 噛み合わせの調整やスプリントは保存療法の選択肢の一つ[3][11] |
「噛み合わせを大きく変えれば治る」と単純に考えるのは適切ではありません。可逆的な保存療法(スプリントなど)で様子を見てから、必要性を判断するのが基本的な考え方です。歯を削る・被せ物を大きく作り替えるといった不可逆的な処置は、慎重な判断が求められます。
審美歯科との関わり
セラミックの被せ物やラミネートベニアなどの審美治療は、見た目だけでなく噛み合わせの高さや当たり方にも関わります。顎関節症の症状がある方、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方が審美治療を受ける場合は、次の点に配慮することが大切です。
- 治療前に顎の状態を確認する:痛み・開口障害・関節雑音の有無を、事前に伝えていただく
- 噛み合わせを丁寧に調整する:被せ物の高さや当たりが強すぎると、顎や筋肉に負担がかかることがある
- ナイトガードの併用を検討する:歯ぎしり・食いしばりがある場合は、被せ物の破損防止と顎への負担軽減の両面で有効なことがある
- 症状が強い時期は急がない:顎の症状を先に落ち着かせてから治療計画を立てる方が安全な場合がある
日常生活でできる予防とセルフケア
顎関節症の予防では、日常の習慣や癖の改善が大きなポイントになります[11]。歯科医院の解説では、顎に負担をかける習慣として、頬杖、歯ぎしり、噛み癖、食いしばり、うつぶせ寝、猫背、硬いものを食べること、大きく口を開けることなどが挙げられています[11]。
今日から意識したいこと
- 頬杖・うつ伏せ寝・猫背など、顎に負担がかかる姿勢や癖を減らす[5][11]
- 片側だけで噛む癖に気づいたら、左右バランスよく噛むよう意識する[5]
- 硬い食べ物や、大きく口を開けるあくびなどに注意する[3][11]
- 日中にふと上下の歯が触れていることに気づいたら、力を抜く(癖の改善が重要とされています[4])
- ストレスをためこまない。顎周囲の緊張が続くと負担になりやすい[3]
谷町四丁目なかたに歯科・矯正歯科の特徴と強み
顎関節・噛み合わせ・審美を総合的に診る
顎の症状と噛み合わせの両面から状態を評価
被せ物・詰め物の高さ・当たりを考慮した精密な設計
歯を削る量をできるだけ抑えた治療を重視
欠損がある場合の噛み合わせ全体の再構築を検討
顎関節の骨の形態や左右差を立体的に確認します。
骨格のバランスを評価し、矯正治療と顎の状態の関係を検討する資料にします。
顎の症状があるときは、まず原因と状態を丁寧に確認し、可逆的な保存療法を優先して段階的に進めることを大切にしています。矯正・補綴・審美治療をお考えの方も、顎の不調があれば初診時にお伝えください。
よくある質問(Q&A)
音だけで、痛みがなく口も十分に開くなら、治療の必要がないとされています[6]。ただし、音が突然しなくなって口が開きにくくなった場合は注意が必要です[6]。不安な場合は一度ご相談ください。
症状や原因によって経過は異なります。習癖の改善や安静で症状が軽くなる方もいますが、痛みや開口障害が続く場合は、他の疾患との見分けも含めて診察を受けることをおすすめします[1]。
必ずなるわけではありません。噛み合わせは複数ある寄与因子の一つとされており[4]、不正咬合を放置すると顎関節症になりやすくなる可能性は高くないが、ありうるとする説明もあります[8]。
使い方は装置の種類と症状によって異なります。就寝時に装着し、歯ぎしり・食いしばりによる負担を和らげる使い方が紹介されています[11]。具体的な装着時間は、診察のうえで担当医の指示に従ってください。
「顎の不調」を放置せず、原因を整理することから
顎関節症は、あごの痛み・開口障害・関節雑音という3つの症状を軸に、複数の要因が重なって起こると考えられています[1][2]。治療は保存療法が中心で[3]、日常の癖の見直しも大きな役割を果たします[4]。
矯正・咬合・審美歯科の治療を考えている方も、顎の状態を先に確認しておくことで、治療をより安全に進めやすくなります。
「顎が鳴る」「口が開けにくい」「治療前に顎の状態を確認したい」——まずはお気軽にご相談ください。
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診療科目:一般歯科・小児歯科・口腔外科・矯正歯科
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出典・参考情報
※本記事は上記出典に基づき作成していますが、各出典元の見解であり、当院独自の臨床データを示すものではありません。医院ウェブサイトの出典([7][8][9][10][11][12])は各医院の見解であり、学会の公式見解とは限りません。
※「審美歯科との関わり」の項および一部の注意書きは、出典の引用ではなく当院の一般的な解説です。
※掲載の情報は記事執筆時点(2026年10月)のものです。最新の診療内容・料金等は医院へ直接お問い合わせください。
